チェスのグランドマスターたちもゲーマーみたいにスポンサーロゴ入りの服を着るし、なんならもっとラフな恰好で試合をしますよ、というお話

  こんなツイートが話題になっています。

   このツイートに対する反応もあります。

   反応を読んでいくと、どうも元ツイートの方も反応している方々も「チェスの人」はスポンサーロゴのないフォーマルな恰好で試合に出るのが標準だと思っているようなんですね。

……おかしい。

チェスのグランドマスターGM)たちはもっと個性的な服装で試合をしているんですよ!?ということで、チェスGMたちのお洋服について語っていこうと思います。

 

1.チェスGMとスポンサーロゴ

  チェスのトーナメント・プロはプロ団体からお給料をもらっているわけではなく、それぞれ単独で活動する一匹狼です。ですので、個人単位でスポンサーと契約して活動費を調達するのはごく普通のことです。*1

  スポンサーをつけているプレーヤーがスポンサーロゴ入りの服を着て試合をするのも日常です。例えば現チェス世界王者のMagnus Carlsen

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 袖と右胸にロゴが入っていますね。

世界トップ10に定着しているオランダのGM Anish Giri。

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 右胸の「optivar」がGiriの個人スポンサーです。

もっとラフな服装の例として、12歳でGMになった天才少年Praggnanandhaa。

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 「RAMCO」がスポンサーロゴです。

 

2.チェスGMとユニフォーム(クラブ編)

  チェスにも団体戦がありまして、団体戦に参加する時はチェスのGMたちもお揃いのユニフォームで試合をしたりします。

  欧州クラブ杯の様子です。

 
 
 
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 向かって左から、世界王者Magnus CarlsenイングランドGM David Howell、スウェーデンGM Nils Grandeliusです。いずれも世界トップ100に入る一流のグランドマスターです。

  もう一例、チェスのドイツ一部リーグブンデスリーガ)で優勝したSG Solingenチームを写した一枚。一人着てない人*2がいますが、置いときましょう。

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クラブチームの例はこんなものです。

3.チェスGMとユニフォーム(国家代表編)

  チェス選手も国を代表して戦うことがあり、そんなときには代表チームのユニフォームを着て戦います。

  2017年、World Cupという世界大会に参加したポーランド代表のメンバーです。

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 左胸についているのがポーランド・チェス協会のエンブレム、右胸についているのが代表チームのスポンサーロゴです。

   「チェスはスポーツ」という考え方に影響されてか、スポーツウェア型のユニフォームを採用する例も多くあります。2017年の世界ユース・オリンピアードで対戦したイラン代表チームとインド代表チームの様子です。*3

www.youtube.comただのジャージみたいなユニフォームですね。

4.チェスGMとTシャツ

  チェスの世界はドレスコードのゆるい大会が多いためラフな格好で登場するGMもいます。Tシャツもありです。

  Saint Louis Rapid & Blitzという早指しの大会に登場したフランス最強のGM、Maxime Vachier-Lagraveの服装がこちらです。

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 ただのTシャツですね。

  アニメTシャツを着るGMもいます。

dame-chess.hatenablog.com  普段は服装に拘るタイプのグランドマスターが突如ラフなTシャツスタイルを採用し、話題を呼んだこともあります。2017年のChess World Cup三回戦、Matlakovとのプレーオフに猫Tシャツで登場したLevon Aronianです。

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 本人曰く、大会開催地に持ってきた服の量が少なく、猫Tシャツ含め少ない選択肢から選ばざるを得なかったのだそうです。*4

 

4.服装と、チェス文化

  震源のツイートに立ち返って、チェス界の服装とチェスの文化、カルチャーについてざっくりと語ってみようかと思います。

  ここまで見てきたように、チェスの世界はGMであってもカッチリとしたフォーマルな恰好をしない例が少なくありません。服装規定を設けている大会はありますが、非常にゆるい規定になっているの実情です。*5つまり「服なんて割とどうでもいい」というのがチェス界の服装に対する姿勢なのです。

  チェスの世界では、年齢、性別、人種、民族、棋力を問わず、すべてのプレーヤーが「FIDEレーティング」という同じものさしで評価されます。盤上で繰り広げられるチェスという競技、ゲームこそが最も重要で、他のものは夾雑物にすぎない、そんな文化が服装への態度からにじみ出ている……とはいえないでしょうか。

*1:尤も、まとまった額のスポンサーマネーを得られるプレーヤーはほんの一握りですが。

*2:ハンガリーのエース、GM Richard Rapport

*3:16歳以下の大会ながら、Praggnanandhaa、Nihal Sarin、Alireza Firouzjaという将来世界王者の座を争うと目されるGM称号保有者たちが写っています。

*4:

https://en.chessbase.com/post/fide-world-cup-2017-aronian-and-ivanchuk-set-up-round-five-clash

*5:レベルの高い大会で、ドレスコードがあっても、要求されるのはビジネスカジュアル程度のフォーマルさですね