立てなくても座れなくてもチェスはできるし、FIDEマスターにだってなれるのだという話

  ポーランドにLukasz Nowakというチェスプレーヤーがいます。

1.ワルシャワのチェスプレーヤー

  Lukasz Nowakは1997年生まれ、ポーランド籍です。祖父に手ほどきを受けてチェスを始め、5年後初めて大会に出場しました。ナイドルフ国際チェス祭*1です*2

   初めての大会でトロフィーとメダルを貰ったNowak少年は、サッカークラブである「ポロニア・ワルシャワ」傘下のチェスクラブでコーチの指導を受けることになりました。*3

  成長したNowakはレーティング2300を突破し、FIDEマスターの称号を取得します。2017年には世界ジュニア選手権*4に参加。前半は1勝4敗と崩れましたが、後半は立て直して11戦中6ポイントを獲得しました。*5

   2019年6月現在、Nowakのレーティングは2267。*6

IMノーム大会に参加するなど精力的な活動を続けています。*7

2.筋疾患

  FM Lukasz Nowakは筋疾患のため、立って歩くことも椅子に座ることもできません。試合風景はこんな具合です。

   国際チェス連盟の定めた公式ルールでは、競技上必要な動作が困難な場合、プレーヤーに介助者をつけることが認められています。*8

着手に関する条項はこちら。

4.9

If a player is unable to move the pieces, an assistant, who shall be acceptable to the arbiter, may be provided by the player to perform this operation.

 時計の操作についてはこの条文。

6.2.6

If a player is unable to use the clock, an assistant, who must be acceptable to the arbiter, may be provided by the player to perform this operation. His clock shall be adjusted by the arbiter in an equitable way. This adjustment of the clock shall not apply to the clock of a player with a disability.

記録についての同様の項目があります。

 8.1.6

If a player is unable to keep score, an assistant, who must be acceptable to the arbiter, may be provided by the player to write the moves. His clock shall be adjusted by the arbiter in an equitable way. This adjustment of the clock shall not apply to a player with a disability.

FM Nowakが参加した障碍者チェスの世界大会のレポートにこの大会でプレーするNowakの写真がありますが、記録用紙を前に置いて同じテーブルに座っている介助者らしき方が写っています。*9

かくして、FM Lukasz Nowakら障碍を持つプレーヤーも合理的な配慮のもと、一般の一プレーヤーとして競技会に参加することが出来るのです。