【2020年チェス世界選手権サイクル】2019 FIDE Grand Prix Series 大会形式&参加者発表

  世界王者Magnus Carlsenへの挑戦者を決めるCandidates Tournamentの出場権を争う年間大会、FIDE Grand Prix Seies(FIDE GP)の開催要項と参加者が発表されました。

www.fide.com

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詳細を見ていきましょう!

 

1.大会形式と賞金

1-1.通年シリーズ

  FIDE Grand Prix Seriesは年間にいくつかの大会を戦って総合順位を決定する、通年シリーズです。2019年シリーズでは、年間4つの大会が開かれます。各選手は、4大会中3大会に参加します。各大会の成績に応じてポイントが与えられ、ポイントを合計して総合順位が決定されます。

  早い話、フィギュアスケートのグランプリ・シリーズみたいなものですね。

  チェスでは年間総合順位の上位2人に、挑戦者決定戦であるCandidates Tournamentへの出場権が与えられます。Grand Prix Seriesは、世界王者へと通じる道なのです。

 

1-2.個別大会の形式

  各大会は、参加者16人によるシングル・エリミネーションノックアウト方式(勝ち抜き戦)で実施されます。各ラウンドごとの形式はまだ発表されていませんが、おそらくチェスのノックアウト方式で一般的に採用されている、徐々に持ち時間を短縮していくミニ・マッチ形式*1が採用されるものと思われます。

  過去に4回開催されたFIDE GPでは、12人による総当たり、あるいは18人によるスイス式が採用されていましたが、2019年シリーズでは早期の引き分け合意が多いことが問題視されていました。*2ノックアウト方式の採用は新たな試みで、決着を付けに行く激しい戦いの増加が期待されます。

 1-3.ポイントと賞典

各大会で与えられる賞金、シリーズポイントは以下の通りです。

成績 賞金(単位:ユーロ) ポイント
1回戦敗退 5,000 0
2回戦敗退 8,000 1
準決勝敗退 10,000 3
準優勝 14,000 5
優勝 24,000 8
(賞金総額) 130,000  

 

シリーズ総合成績に大して与えられる賞金は以下の通りです。

成績 賞金(単位:ユーロ)
10位 10,000
9位 10,000
8位 15,000
7位 20,000
6位 25,000
5位 30,000
4位 35,000
3位 40,000
2位 45,000
1位 50,000
(賞金総額) 280,000

 

 2.参加者

 

2-1.参加者リスト

  1月25日、FIDEは2019年FIDE GPの参加資格保有者リストを公開しました。

www.fide.com  この中から、FIDEのオファーを受けたプレーヤーに加え、主催者推薦を得たプレーヤー(ワイルドカード)がFIDE GPに参加します。大会別の参加者は次の通りです。

 

選手名 レーティング*3 モスクワ リガ ハンブルグ テルアビブ 備考
Mamedyarov 2812,17   アゼルバイジャン1位
Vachier-Lagrave 2783,83   フランス1位
Giri 2779,75   オランダ1位
Wesley So 2778,92    
Aronian 2773,08   アルメニア1位
Grischuk 2767,92    
Nakamura 2767,83   2018年Grand Chess Tour総合優勝
Karjakin 2766,08   2016年世界選手権マッチ挑戦者
Yu Yangyi 2761,42    
Nepomniachtchi 2758    
Svidler 2751,75    
Radjabov 2751,75    
Topalov 2744,58   元FIDE世界ランク1位
Jakovenko 2739,75    
Navara 2737,5   チェコ1位
Wojtaszek 2734,5    
Wei Yi 2733,92   ジュニア(20歳以下)世界1位
Duda 2733   ポーランド1位
Harikrishna 2732,92    
Vitiugov 2726,92    
Dubov 2703*4  

2018年世界ラピッド優勝

Wojtaszek以下は辞退者が出た後に繰り上がった選手です。また、Dubovはワイルドカードで参加が決まりました。

この他、イスラエルで開催される第4戦テルアビブのみ現地主催者の推薦枠があります。この枠の参加者は未定です。

 

2-2.招待を断ったプレーヤー

  Carlsen、Caruana、Ding Liren、Kramnik、Anandの5人がFIDEからの参加オファーを断りました。

  現役世界王者CarlsenとCanddates出場枠確保済みのCaruanaに関しては、Candidates出場権を取りに行く必要がないのでGPに参加しないのは自然なことです。Kramnikは既に引退を発表しているので、こちらもオファーを断ったのは当然の判断。

  Ding LirenとAnandに関しては理由がよくわからないですね。そろそろ50歳になるAnandは体力面を考慮したということなのかもしれませんが、Ding Lirenは年齢的にも指し盛り。断り理由はないように思えます。中国での大会と日程調整がうまくいかなかったのでしょうか……。 

*1:後日正式に発表されました。形式は次の通り:90分40手+30分(一手30秒加算)x2戦、決着が付かない場合25分+一手10秒加算x2戦、以下同様に10分+一手10秒加算x2戦、5分+一手3秒x2戦。これでも決着が付かない場合、「アルマゲドン」と呼ばれる特殊な形式の早指し一戦だけを行って勝者を決める

*2:2017年シリーズに参加したGM Jon Ludvug Hammerのブログより。Hammerはドローオファーの廃止を提言している。

https://www.chess.com/blog/SultanOfKings/an-insider-s-view-on-the-fide-grand-prix

*3:FIDEの発表に記載された数値

*4:2019年3月期の数値