Fischer Random 2018開催!

 変則ルール「フィッシャー・ランダム」を適用した棋戦が開催されます。
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公式サイト
Home - Fischer Random 2018
公式サイトにて、中継映像が配信される予定です。

概要

大会名 Fischer Random 2018 Magnus Carlsen - Hikaru Nakamura
開催地 ノルウェー・Høvikodden
賞金 総額150万ノルウェー・クローネ、勝者90万ノルウェー・クローネ
方式 CarlsenとNakamuraによる1対1のマッチ。ラピッド8ゲーム、ブリッツ8ゲームを行い、決着がつかない場合アルマゲドンを行う

参加者リスト

名前 所属連盟 FIDEレート 備考
Magnus Carlsen ノルウェー 2843 世界ランク1位、現世界王者
Hikaru Nakamura アメリカ 2781  

注目ポイント

1.フィッシャー・ランダム(チェス960)というルール

  フィッシャー・ランダムとは、元チェス世界王者Bobby Fischerが考案したチェスの変則ルールです。
通常、チェスの駒の初期配置はこうですよね。
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ところが、フィッシャー・ランダムではポーンを除く一段目の駒の配置をランダムに入れ替えます。
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こんな配置もあります。
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960通りの配置があるため、「チェス960」とも呼ばれます。

  なぜこんなことをするのか、というと標準的なチェスで比重を増している事前研究をなくす(少なくとも、その比重を軽くする)ためです。
  現在の駒の動きと初期配置が確定してから数百年。チェスプレーヤーたちは営々と序盤定跡を研究し続けてきました。世界の頂点を争うグランドマスターたちはチームを組織し、高度な研究を行っています。近年では世界チャンピオンより強いコンピュータ、数百万局を収録したデータベースなど、電子的な手段を利用した強力な研究も行われています。結果的に、事前研究の重要性は増すばかり。トップレベルでは事前に準備してきた引き分けになるラインを再現して終局するようなゲームも増えてきています。トップ選手たちは膨大な序盤研究によって疲弊しますし、見ている側も研究手順を並べなおす様子を眺めているだけでは楽しめません。
  この状況を打破すべく、一旦初期配置をリセットし、初手から盤の前で指し手を考えさせるのがこのルールのねらいです。

2.フィッシャー・ランダムは興隆するのか

  フィッシャー・ランダムは一時大きく注目され、2007年から2009年にかけてはチェス界のトップ選手が参加して、フィッシャー・ランダムの「世界選手権」を称する大会も開かれました。しかし、近年はトップ選手が参加するOTBのフィッシャー・ランダム大会が開かれることはなくなりました。
  今回、Magnus CarlsenとHikaru Nakamuraという世界トップクラスのプレーヤーが大々的にフィッシャー・ランダムの対局を行うことで、フィッシャー・ランダムは勢いを取り戻し、レベルの高いOTB大会が開かれるようになるかもしれません。

3.栄冠はどちらの手に?

  単純にレーティングだけで見ると、FIDEのスタンダード、ラピッド、ブリッツ全てで上回るCarlsenが優位に思えます。また、Carlsenは力戦形も好んで指します。先日のTata Steelで指されたSvidler戦などを見ても、「定跡無用の力勝負」はCarlsenにとって歓迎すべきフィールドと言えそうです。
  一方のNakamura。Chess.com主催の早指しオンライン棋戦でCarlsenと対戦し、総合成績では負け越したのですが、その中のフィッシャー・ランダムで行われたゲームではCarlsenに勝ち越しています。また、前述のフィッシャー・ランダム「世界選手権」の2009年大会で優勝したはNakamuraです。Carlsenよりレーティングが低いとはいえ、Nakamuraもラピッド、ブリッツでは世界3位のプレーヤー。過去のフィッシャー・ランダムでの成績も考慮すれば、Nakamuraにも十分勝機はあるでしょう。

4.「非公式」世界選手権

  今大会はフィッシャー・ランダム方式の非公式な世界選手権タイトルマッチとして開催されます。

5.コメンテーター

  セントルイスでの大会やChessbrahの配信でお馴染みのGM Yasser Seirawan、そしてChess24を軸に活動するIM Anna Rudolfのコンビが解説を行います。