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2016年チェス世界選手権開催中!

  世界選手権が始まる前にアップロードしたかったのですが、もう3分の1終わっちゃってますね……。非チェス勢の方々向けに、少し世界選手権の紹介をしてみようかと思います。

 

1.「世界選手権」とは?

  国際チェス連盟(FIDE)が公認する「チェス世界チャンピオン」の称号をかけて現役世界チャンピオンであるマグヌス・カールセンと候補者大会(Candidates Tournament)を勝ち抜いた挑戦者のセルゲイ・カリャーキンが12ゲームの番勝負を行います。1ゲームあたり、勝利に1ポイント、引き分けに0.5ポイント、敗北に0ポイントが与えられ、先に6.5ポイントを獲得して勝ち越しを決めた側がタイトルマッチの勝者となります。12ゲームを終えて同点の場合、早指しによるタイブレーク・ゲームが行われます。

  チェスにおいて何らかの称号をかけて実施するタイトルマッチは世界選手権のみで、開催は2年に1度。*1毎年7回のタイトル戦を行う将棋の世界に比べると少し寂しい気もしますが、その分世界選手権の価値は非常に高く、数多のチェス選手の中から挑戦者になるだけでも大変な名誉とされます。

 

2.出場選手

 マグヌス・カールセン(現世界チャンピオン)

  • 1990年11月30日生まれの25歳。ノルウェー出身。
  • 2016年11月期世界ランキング1位。レーティング*22853。
  • レーティングの史上最高記録*3を保持。誰もが認める現代チェス界最強の男。
  • 13歳4ヶ月27日でグランドマスターGM)の称号を獲得。*4
  • 10代の半ばからヨーロッパ各地のチェス大会を転戦する生活を始める。
  • 2013年、22歳で世界チャンピオンを獲得、翌2014年のタイトルマッチで防衛に成功。2016年は2度目の防衛戦。
  • 他のトップ選手に比べるとコンピューターを使った序盤研究に重きを置かないといわれている。
  • 対局中のドリンクは決まってオレンジジュース……だったがやめたらしい。今年開かれたチェス・オリンピアード*5でも水だった。
  • 肉体的なトレーニングも欠かさない。頭脳スポーツの選手としては中々いい体をしている。

 

 セルゲイ・カリャーキン(挑戦者)

  • 1990年1月12日生まれの26歳。出身はウクライナ(当時)のシンフェロポリで、かつてはウクライナの選手として活動していたが、現在はロシア籍。
  • シンフェロポリ出身=最近ロシアに併合されたクリミア半島の出身。籍を変えたのは2009年なのでクリミア併合とは無関係。
  • 2016年11月期世界ランキング9位。レーティング2772。
  • 12歳7ヶ月でGMの称号を獲得。これは今も破られていない史上最年少記録。
  • GM獲得の翌年の2004年にGMとコンピューターが団体戦を行う電王戦のようなイベントに参加し、コンピューターに一度勝っている。*6
  • その後も順調に成長を続け、2008年に一流GMの証とされるレーティング2700を突破。
  • 2014年に候補者大会に初参加した際は2位で惜しくも挑戦権獲得を逃す。2度目の参加となる今年3月の候補者大会で優勝し、初めて挑戦者となる。
  • カールセンの地元ノルウェーで開催されるノルウェー・チェスというスーパー・トーナメント*7で2013年、2014年とカールセンを上回って連覇。ノルウェーとは相性がいいのか?

 

3.会場

 決戦の地はニューヨークのマンハッタン。かつての魚市場をリノベーションした商業施設(?)フルトン・マーケット・ビルディングで全試合を行います。その昔の世界選手権では途中で開催地を移すこともあったそうですが、近年は単一会場での実施が主流です。

 

4.勝つのはどちら?

  ここまでの早指しを除いた直接対決の成績はカールセン側から見て4勝1敗16引き分け。レーティングでもカールセンが大きく上回っており、ファンの間でも専門家の間でも「カールセン持ち」が多数派です。

  

  有名サイトの専門家の見解まとめ記事を2本紹介しておきます。

www.chess.com

en.chessbase.com

  あのカスパロフも「カールセン持ち」ですね。

 

5.途中経過

  全日程の3分の1、4試合を消化した時点で4引き分け、2対2のタイです。様子見のような第1、2戦でしたが、第3、4戦ではカールセンが優勢となり、カリャーキンを追いつめました。

  カリャーキン側から見ると、2戦続けてなんとか引き分けまで辿り着いてタイの状態を保つことに成功したと言えるでしょう。追いつめながら勝ちを逃したカールセンは何を思い、これからどんなプレーを見せるのか。今後の展開からも目が離せません!

 

  なお、試合開始は全ゲーム日本時間午前4時です。

  睡眠は大事です……。

*1:近年は概ね2年に1回ペースが維持されていますが、過去には間隔が大きく開いたり、2人のチャンピオンが分立する時期があったりもするなど紆余曲折がありました。

*2:チェス選手の強さを示す指標。詳しくは「Eloレーティング」でググろう。観戦するときはスカウターに表示される“戦闘力”のようなものだと思っておけばいいと思います。

*3:2014年5月期に2882を記録

*4:多分将棋の中学生プロ棋士のようなものです

*5:2年に1回開かれる国別対抗の団体戦。ロシアやアメリカ、インドなどの強豪国からレーティングを持たないプレーヤーばかりの弱小国まであらゆる国・地域から代表が派遣される。

*6:藤井総太新四段が電王戦に参加したようなものですね。

*7:将棋ならA級や王将戦リーグ、竜王戦一組に相当する超ハイレベルな試合だと思われます。